#oshiro/城郭記
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Author:#oshiro
―城郭数寄者
城郭(最近は近世が特に…)と数寄建築・茶の湯が好きで、各地のお城や茶室を巡っています。中世城郭も好きですが、今は写真メインで巡ることが多く、土造りの城より石垣が築かれた城に足を運んでいます。
[注意!!]元々理系なため、文章がメチャメチャ下手糞です。と、ここで保険をかけておきます。



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松江城-20/塩見縄手(外郭の防衛体制4.01)
松江城-20/塩見縄手(外郭の防衛体制4.01) 【松江編 #20】

前回の外堀の記事で少し触れた塩見縄手

今の道幅からは想像できないと思うけど、60年前は現在の半分しかなく、
また堀際には小竹が群生していて街灯がなく、夜ともなると寂しいところ
だったそうだ。

現在は、この一帯を松江市伝統美観保存指定地区として、武家屋敷が公開
されたり、老舗そば屋や美術館、松江特有のぼてぼて茶を扱うお店、先日
ヒストリアで取り上げられた小泉八雲の旧宅などが建ち並んでいる。

こういった観光施設が数多くあるためか、塩見縄手は輝きを増し、
若い女性観光客であふれている。

松江城の記事で、中世山城の名残があると書いた。堀切だった場所と思われる
箇所が内郭内に3箇所、そしてもう1つは城山稲荷神社の境内地と北にある松江
北高校の校地(赤山)との中間地点の1箇所、計4箇所あると。

この最後の1箇所は、実はこの塩見縄手の位置に当たる。
この場所が元々堀切だったのではないかと考えられている箇所で、
現在の姿からは想像し難い。

塩見縄手と北堀が広がるこの一帯には、その境内地と赤山の間にあった
宇賀山という山があり、築城の際にこの山を削り取って北堀と武家地を
造成したと伝えられている。

今も生えている堀沿いの巨松はこの頃のものだと言われている。
この巨松の中にはハートの切り口があるので、宝探し感覚で探すのも
面白いだろう。
※自分は見つけた。

北堀掘削工事
[Photo]松江歴史館の動画から作成、北堀掘削風景

『島根県史』ではこの時の掘削工事の範囲を全幅50間(90メートル)長さ
130間(234メートル)とし、排土量を3万立方坪(約180,000立方メートル)
と推定している。

前回の記事で、内中原町などは工事のときの残土(粘土)で埋立たと
記述したのを覚えているだろうか?その残土は、上記工事で出てきた
排土を使用したことが想像できる。

城山稲荷神社の境内地は標高18.9メートル、
松江北高校の肯定部分が標高18.2メートル。

2つとも同高度なことから、この2つの山の間には地続きの鞍部が
あったと考えられている。

今の塩見縄手からは想像がつかないが、明治42年の地形図を
見ると、松江城の北には丘陵が続いていたことが分かるので、
地続きの鞍部があったとしてもおかしくはない。

余談だけど、塩見縄手は観光名所なので、松江を訪れる人はこの地名を
知っているだろうけど、縄手とつく地名は何もここだけではなかった。
松江には他にも『石橋縄手』、『摩利支縄手』、『立町縄手』というように
複数存在した。塩見縄手はそのうちの1つということである。

縄手とは何か?
それは“一筋に長く延びた道路”のことだと言われる。

松江20121128_塩見縄手07
[Photo]現在の塩見縄手、田部美術館付近

とすると、上の写真に見える武家屋敷手前の道路のことを指すのだろうか。

しかし、最近の研究結果では、縄手とは“土盛をして道にしたもの”という
地名の意味だとされている。長野県の松本市にも縄手という地名がある。
そう、あの国宝天守を有する松本城がある地にも。

松本の縄手は、現在発掘調査が続けられている大手門枡形跡の南に位置している。
松本城に行ったことがある人は目にしたことがあるのではないだろうか。なわて通り
商店街が表の通りから見える。

その縄手という場所は縄手の北にあった三の丸を囲う水堀と、縄手の
南側に位置する女鳥羽川が本来繋がっており、そこを埋め立てて、
平地にしたことから縄手という地名がついたと考えられている。

とすると、この松江の縄手も同じ由来からきたのだとすれば、前半に
挙げたように掘削工事で山を削った後に土をならして平地にしたという
ことからも、土盛をして道にしたものという説もしっくりくる。

くのいち縄手
[Photo]松江城本丸内の売店で売っていた『くのいち縄手』

松本ではこんなフィギュアを売っているのでビックリした。

と、ここまでで塩見縄手の造成の様子を見てきたが、
実際、どのように塩見縄手が構成されていたのだろうか。

また堀尾期松江城下町絵図を見ていく。

丁字路01
[Photo]堀尾期松江城下町絵図、内郭周辺

外郭の防衛体制3.00で、戦略道路の1つ「鉤型路」を扱った。
1つと書いていたので、これ以外にあることは想像できただろうし、
まぁ有名な道路でもあるので、いちいち説明しなくても知っている
方は多いだろう。

今回出てくるのは、戦略道路の1つ「丁字路」。
字のごとく、“丁”となっている道路のことを指す。

ちなみに、“T(ティー)”ではなく“丁(てい)”。
よくT字路と言われるけど、道路交通法でも「丁字路」で採用されている。

上の絵図中に赤い矢印で示した部分が、丁字路となっている。
上に3箇所、下に2箇所。現在触れている塩見縄手は、上の3箇所の内の
北堀に突き当たっている2箇所の場所にあたる。

敵軍の侵攻を混乱させるために、城に向かう道の先を左右に分けて
行先を迷わせたもの。松江城内堀の北、塩見縄手の方は、北から
侵入してくると内堀にぶつかるように工夫されている。

松江20121128_塩見縄手にある丁字路01
[Photo]北堀側から見た丁字路

写真中央の道から敵が攻め込んできたとき、この写真を撮った背後には
水堀となっている北堀が待ち受けている。そのため、敵軍は左か右か
進路選択しなければならない。もたもたしていたら、後ろから後続が
どんどん押し寄せてきて、水堀に真っ逆さまだろう。

松江20121127_松江歴史館「松江の城下」模型(丁字路)06
[Photo]模型に見られる丁字路

007のゴールデンアイでは、街中を戦車で繰るボンドが丁字路で
曲がったところ、後ろから追いかけてきた敵は川に真っ逆さまに
落っこちていった。そんなことが創作の世界でも起こるとされている
くらいなので、実際そんなことを想定して丁字路造りされていても
おかしくない。

この場所には丁字路以外にも、城下町には多く見られる袋小路が1つあった。
あったと言うのは、もう行き止まりになっておらず、道が通じてしまっているから。
袋小路は城下町の特徴だけど、松江では鉤型路や丁字路に比べて少ない。

このように松江には、城下町の名残が色濃く残されている。
鉤型路に丁字路、敵が大人数で列をなして進軍できないように道幅を
狭くしたりしている。塩見縄手から自転車だと10分くらいのところに、
松平不昧公が訪れた茶室が残る普門院がある。そこの方が、「松江市内
は一方通行が多くて、車で回るにはとても不便な場所だよぉ~」と嘆いていた。
城下町の防衛が残る町ならではの贅沢な悩みだと思ったが、実際住んでいると
やっぱり不便なんだろう。

堀を掘り下げれば、排土が出る。その土を内側に盛り土すれば土塁を構築できる。
お城の本を読めば書かれている基礎知識だけど、この北堀を掘削したときに出た
土が全て城下町形成のために湿地帯埋立に全て使われたかと言うとNOで、北堀や
西側の石垣が構築されていない内郭には、そのときの残土で盛り土して突き固めた
土塁が周りを固めている。

松江20121128_松江城内堀沿いの北の土塁04
[Photo]内郭北側に残る土塁、北堀からの侵入者を防ぐ

冒頭に、60年前には小竹が塩見縄手の堀際に群生していたと書いたが、
小竹は江戸時代の名残だったのだろうか、もしそうだとすると、戦時の
際に矢竹などで使用する用なのかな?とも考えられる。

内中原町の四十間堀側には“藪ノ丁”という地名が残されている。
これは、堀沿いの土塁上に竹が密生していたことから名付けられた町名
と言われている。


大きな地図で見る
[地図]藪ノ丁が残る

弓が主戦力時代、城内には矢の材料となる矢竹が植えられたり、大きいものは
竹槍などにもなった。また、攻撃だけではなく防御としても重ねればそれなりの
強度を持ち、虎落(もがり)や竹束など臨時の盾や柵にもなった。

もちろん防御のための二次利用もあるが、実際には植物に根を張らせることで
土手を補強する目的もあった。藪ノ丁の竹も土塁の補強及び蔀の目的だった
ことが堀沿いということからも推測できる。

和歌山城でも三の丸沿いには竹が密生していて、臨時の際には使用することが
考えられていた。

その和歌山城は別名、“竹垣城”の名でも知られる。

以上

今回はここまで。また次回。



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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術


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